大人の部活

末永くクルマの運転を楽しむ為に…
61歳現役レーシングドライバー
松田秀士さんによる講演会
『スローエイジングで
お浄土までぶっ飛ばせ!』
ホンダカーズ野崎大人の部活第4弾
12月3日(土)17時より
トコトコ大田原にて開催されました♪

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2016年スーパー耐久シリーズ
ホンダカーズ野崎フィットの
Aドライバーとしてご活躍いただいた
ご縁から実現した今回の講演会。

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本講演の主旨は、何歳になっても
…それこそ往生するまで…
クルマのドライブを支障なく
楽しめるような体調を維持するには
どう取り組んでいけば良いのかを
ご自身の体験談を交えながら
語っていただくというものです。

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冒頭は松田秀士さんのキャリアから。
1954年高知生まれの大阪育ち。
高校時代から大阪のあらゆる道を
走りまくった青春時代?を過ごし、
大学在学中に僧侶となり、
読経やアルバイトで得た収入で
カートレースを始め大活躍。
レース活動は資金が尽きて諦め、
サラリーマン時代を経て、
芸能界のマネージメント職を目指し、
26歳の時に上京。
義兄であるビートたけしさんの
付き人兼運転手となる。
運転手になったのはたけしさんの愛車
ポルシェを運転したかったから(笑)

「漫才師が走ってたっていい」
宴会の席でトントン拍子に話が決まり
たけしさんのサポートを得て
1983年シビックレース参戦。
1年だけのつもりで始めるも
2位表彰台獲得の好成績を収め、
翌84年はF3へステップアップ。
第3戦富士で早くも優勝!
「待ってろ中嶋!」を合い言葉に
85年にはF2へスピード出世!
しかし型落ちマシンで泣かず飛ばず…
「待ってて下さい中嶋さん」へ(涙)
その後、グループC、グループA、
ルマン24h…様々なレースに参戦。

バブル崩壊で不遇の時代の92年、
インディ500マイルレースの
現地ピットレポートで取材した際、
「これならオレにも出来る!」と感じ
翌93年は2週間取材と観察の日々。
94年39歳遅咲きルーキーとして
インディ500マイルレース参戦!
大混戦の予選を14位で通過するも、
決勝はクラッシュでリタイヤ…
インディカーレースの特徴や
独特なセッティング手法について、
インディアナポリスのコース特性、
オーバーテイクする為の戦術などなど
参戦したドライバーにしか分からない
体験談を教えていただきました♪
【インディ500マイルレース戦績】
1994年 予選14位 決勝24位
1995年 予選20位 決勝15位
1996年 予選30位 決勝8位
1999年 予選10位 決勝10位
2000年 練習中負傷欠場

ベックモータースポーツより参戦。
資金集めは難航したそうですが、
理解のあるエンジニアと出会い、
オーバルレースの実力を認められ、
最も低予算で戦えたとの自負あり。
特に96年はチームのTカーに乗り、
フリー走行たったの35周で予選に
出走して通過するのも驚きですが、
決勝をシングルフィニッシュとは
凄すぎますっ!!

松田さんのベストレースは99年。
1回目のピット直前にガス欠となり
4周遅れの最後尾となるものの、
キレッキレの走りを展開し、
抜きに抜きまくっての10位完走!

インディ500に挑戦を続ける一方、
1995年から2012年まで
JGTC、スーパーGTに参戦。
グレーテッドドライバーに。

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そして2016年、満を持して
スーパー耐久シリーズにフル参戦!
その活躍ぶりは皆さんご存じの通り♪

レース活動もさる事ながら、
自動車評論家としても幅広く活動。
毎月数多くの原稿を執筆し、
記事の無い自動車雑誌を探す事の方が
大変なほどの自動車ジャーナリスト。
日本カーオブザイヤー選考委員。
評価採点から発表会までの間が
一番イヤな時間なんだとか(笑)

受講者にレース好きが多いので
半分の時間を割いていただきました♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

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ここからが本題のスローエイジング。
プロドライバーとしては遅咲きだった
松田さんはF2時代から長く現役を
続けられる事を主眼とした健康法や
トレーニングを探求されてきました。

その必要性を痛感したのが2000年
インディ500プラクティスで
時速380km/lからスピンして
時速320km/lでコンクリート
ウォール激突時には160G
という前代未聞の衝撃がっ!
60キロの身体だったら10トン?!
直径約3センチの金属製ステアリング
シャフトが曲がってしまう程の衝撃で
右手首と左膝を複雑骨折する重傷…
激しい後遺症のめまい…
大破のマシンに患部レントゲン写真…
膝に埋め込まれた補強プレート…
ショッキングでしたね。
HANSもセイファーウォールも
無い時代…想像を絶するダメージ…
それでも2ヶ月後のJGTCには
車いす生活でもスタートドライバーで
出場したというから驚きですっ!!

そんな大怪我を克服した松田さん、
様々な後遺症に悩まれたそうで、
左右で足の長さが変わって骨が歪み
歩くのもままならなくなったり、
執筆も短時間で手が痺れたり…
身体のあちこちに不具合が生じ、
ドライバー人生が短命に終わって
しまう事を危惧し、ありとあらゆる
治療法、訓練法、医薬品を試す中で
得られた効果や知見をもとに、
スローエイジング論を確立。
世に広める活動をされておられます。

還暦を越えてもなお現役レーサー
この事実が説得力を高めますね!

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「朝布団から起き上がれますか?」
おもむろに質問から入る松田さん。
私はまだ大丈夫なので安心しましたが
加齢により難儀になるようです…
起き上がれなくなる原因は
骨盤歪み、筋肉の衰え、血流の淀み。
朝のウォーミングアップの一環として
バランスボールを使ったトレーニング
を教えていただきました。
バランスボールに腰をおろし、
手を組んで両肘を肩の位置で水平にし
骨盤を前後左右そして回転方向に
動かすというもの。
血流が促され痛みが緩和するそう。

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骨盤周りの体幹トレーニング。
松田さんは腕立て伏せが苦手…
というか嫌い…私も同感(笑)
主にストレッチでのトレーニング。
うつ伏せで肘を直角にして爪先立ちし
お尻をキュッと締めて息を吐ききって
背中と足を一直線にする。
これを呼吸をしながらやると。
やってみると結構プルプルします。
このまま片足を上げるのも効果的。
身体を90度ひねってみるのもOK。
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四つん這い姿勢から
背中を反ってみるのも有効です♪

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お手軽トレーニングとしては
机に背を向けて立ち、手を机の縁に
置いて腕を屈伸させる運動
「ディップス」
通常の腕立て伏せよりも色々な
筋肉を動かせるし、足の位置で
負荷を変えられるのが良いですね。

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続いて肩甲骨ストレッチ。
フォーミュラカーの横Gに耐えるべく
砂袋付きヘルメットを被ったりなど
涙ぐましい努力をするも
全然首を強化出来なかった松田さんが
辿り着いた答えは体幹トレーニング。
手を逆組みして頭上に伸ばし、
前後、左右、回転させるというもの。
そういえば、スーパー耐久のピットで
このストレッチをしている松田選手を
何度もお見かけしましたねぇ。
疲労時のリフレッシュとしても有効。

…という事で、少し脱線(笑)
運転で疲れた時のリフレッシュ方法。
まずは「足上げ」
血液が滞留して酸素が行き渡らない
状況を打破する為に足を上げて循環を
促すという方法。簡単ですね♪

こめかみを拳骨でグリグリする事でも
リフレッシュ出来ます♪

鎖骨の上の首をつまむマッサージ。
胸鎖乳骨筋を刺激する事で目の疲労を
軽減出来るそうです♪

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お次は目のトレーニング。
「自分の利き目って分かりますか?」
分かりません…(汗)
指で輪っかを作って両眼で覗き、
何か目印をセンターに持ってきて
片目を瞑ってみる…
オッケーですポーズですね(笑)
目印が見える目が利き目、
見えなくなる目は利き目じゃない…
おぉ、初めて知りました!!

脳は利き目の情報を重視するので
利き目ではない方は衰えやすい…
私の利き目は右目でしたが、
確かに左目の視力が年々下降気味。

老眼は防げないので、もしなったら
迷わず老眼鏡を使うべし。

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運転に視力は欠かせない能力です。
加齢とともに眼球周りの筋力が衰え、
目の可動範囲が狭まる傾向にあり、
そうなると人間は首を回して情報を
得ようとしますが、反応速度的には
遅くなってしまうのが難点です。
そこで登場するのが「タコ糸」
長さ2メートルの糸の一端を
目の高さで固定してピンと張り、
もう一端を鼻の上に持ってくる…
そしてタコ糸を凝視っ!
すると糸がクロスしたように見え、
この交差点を前後させるように
眼球を移動させるトレーニング。
交差点を手前に持ってくるのは
寄り目方向なので比較的容易ですが
奥にやろうとすると難しい…(汗)
「両眼視」するのはとても大切で、
糸がバッテンに見えるというのは
両眼で視ているという証拠であり、
脳が情報として捉えているという事。
自在に出来るようになれば
運転に必要な視野は問題ないですね♪

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最後に「脳の活性化」
脳は使わないと衰えるばかりで
反射神経が求められる運転では
致命傷になりかねません。
そこで、この矢印だらけの紙。
方向を声に出しながら腕を動かす…
ただそれだけ。すぐ出来ます。
矢印「→」声「右」腕「右」
今度は腕を逆方向に向けましょう!
矢印「→」声「右」腕「左」
めちゃ難しいです…
では、声を反対にしてみますか。
矢印「→」声「左」腕「右」
これも難しい…

脳で考えてから身体に指令を出す
このタイムラグを短くしていく事で
脳がどんどん活性化する訳ですね。
全ては「血流」を良くする為の運動。
昨今のペダル踏み間違えによる
高齢者の事故が増えている背景には
身体能力の衰えからくる
運転姿勢の変化に気付かず、
若い頃と同じ様に運転する事で
起きているのではないか?というのが
松田さんの推論。
ドライビングで重要なのは、
「骨盤の上に座る」意識!!
これは運転姿勢の基本でもあり、
運転操作の中心を成すものなので、
ぜひとも意識しておきたいですね♪
長距離ドライブについての注意点。
眠気覚ましなどで栄養飲料を飲む際は
「一気に飲まない」
糖分の摂取は確かに有効ですが、
脳は活性化したら落ち込む波があり
一気に飲むとその落差が大きくなって
どっと疲れが出やすいとか。
1缶を1時間くらいかけて
ちびちび飲む事で波が平均化されて
集中力が持続しやすいのだそうです。
ありとあらゆるサプリメントを
お試しになった松田さんが
いまオススメする4つのサプリ!

「BCAA」分岐鎖アミノ酸。
ここぞ!という時に!
「ビタミンC」抗酸化作用高し。
「ルテイン」網膜の保護に効果的。
「ヒアルロン酸」目薬で角膜保護に。
…といったところでそろそろお時間。

松田さんが大事にしているのは
「移動の自由」
電車や飛行機があるとはいえ、
それは「点から点への移動」であり、
自由のある「線の移動」ではない。
徒歩や自転車も線で移動出来ますが
高齢者には荷が重くやはり車が必要。

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高齢化社会の日本において、
40代50代からスローエイジングに
取り組む事で、いくつになっても
クルマの運転を楽しめるように…
という想いで講演されているとの事。
とても素晴らしいお話しでした♪
短いながらも質疑応答タイム。
他のドライバーにも教えているの?
…新たなサプリ登場!あの人も実践!
雨中ドライタイヤ走行極意とは?
…これぞ「雨の松田」テクニック!
インディ500獲得最高賞金とは?
…賞金も桁違いの世界ですねっ!
店長とインディおじさんが質問し、
なるほどねーな回答を頂きました♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

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続きは懇親会で…という事で、
いつもの明り亭さんへ会場を移動。
そしてカンパーイ♪♪
いつにも増して熱い自己紹介(笑)
秀士さん、
レースでシビックやシティターボに
今年はフィットに乗っていたのは
知っていましたが、愛車としても
ホンダ車ユーザーだった事が判明。
初代Zにレース用アルミホイールを
履かせタイヤ半分が…だったり、
初代と2代目オデッセイの…
これはオフレコかな?(笑)

野崎のインディおじさん2人組が
秀士さんへ怒涛の質問攻めっ!
マシンガントークとはこの事か…
ご本人様方のレポートに続く(笑)

私は今季のスーパー耐久総括話をば。
ベストレース富士戦における最終周
脅威の急接近の真相とは?
悔しい岡山戦トラブルを抱えた
マシンの挙動は一体どうだったのか?
今季のセットアップの方向性とは?
謎が解けてスッキリしました(笑)

レースファンについての会話中、
秀士さんが語ってくれたお話を一つ。
インディ500初挑戦の1994年、
クラッシュでレースを終えた翌日の
パーティに出席した時のエピソード。
全出場ドライバーがスピーチする事を
全く知らなかった秀士さんは、
自分の出番が来るまで必死で考え、
拙い英語でこう述べたそうです。

★★★★★★★★★★★★★★★★★

When I drove first time in oval
course on Texas World Speedway,
Dick Simon taught me wall was
friend, so I kissed the wall
yesterday. I love Indy!!

初めてテキサスのオーバルを走った時
監督のディックが教えてくれたんだ。
「壁は友達なんだよ」ってね。
だから昨日、僕は壁とキスしたのさ。
僕はインディが大好きなんだ♪

★★★★★★★★★★★★★★★★★

ファン総立ちで拍手喝采の
スタンディングオベーションが起きた
あの日が忘れられないそうです。

日本からスポット参戦にもかかわらず
予選決勝を通して光る速さを見せた
Hideshi Matsuda…20年以上経った
今でもアメリカのファンの間で
レジェンドドライバーであり続ける
理由が分かったような気がしました。

そんな楽しい時間は瞬く間に過ぎ…
原稿締切を控えている秀士さんは
先にお帰りになられました。
野崎の飲兵衛さん達はまだまだ…
いやぁ付いていけないですねー(笑)

という訳で、大人の部活第4弾
松田秀士さん講演会&懇親会終了♪
ご教授いただいたスローエイジングを
積極的に実践し、大好きなホンダ車を
ずーーっと運転し続けられるよう、
お浄土までぶっ飛ばそうと思います!
ぜひ皆さんも実践してみて下さいね♪

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